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名医と迷ランナー第14話

更新日:2015年11月28日

マラソン1週間前の食事と練習Ⅰ

大阪マラソンや神戸マラソンの結果は、いかがでしたか?

私は、神戸マラソンに参加しましたが高温、多湿が影響したのか最初から全く身体が動かず、ジリ貧で撃沈しました。ただ、「本格的にタイムを狙っているのは1月のレース!」などと言い訳など・・・。もうひとつ言い訳をさせていただくならば、年齢を重ねる(!?)と環境の変化への適応能力が悪くなっていくような感覚を、身をもって感じています。数年前までは「暑いの大好き!!ルンルンで走れる!」と言っていたのに・・・。中でも気温、湿度への適応能力は、年々悪くなってきていると感じています。(涙)

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ところで、前回第13話は「今年の神戸マラソンに向けて今できることは、疲労を取り除くことだけです!!」で締めましたが、実はレース前の1週間の練習プランは極めて重要です。ただ、何度か練習してみて、自分にあったものに微調整したうえで取り組まなければ失敗する恐れが高いことから、ご紹介しませんでした。少し長くなるので・・・、今回と次回の2回に分けて今後のレース(マラソン)に向けての1週間前の食事と、練習について考えてみます。

≪フルマラソン1週間前の最も基本となる食事とポイント練習の基本パターン≫
・パターン1

日~火 脂質、たんぱく質中心 練習量は落とさない
脂質、たんぱく質中心 オールアウト走→後、夕食~糖質中心
木~土 糖質中心 練習量を落とす
糖質中心 レース

・パターン2

日~水 脂質、たんぱく質中心 練習量は落とさない
木~土 糖質中心 練習量を落とす
糖質中心 レース

・パターン3

通常食 練習量は落とさない
月~水 通常食 練習量を落とす
木~土 糖質中心 練習量を落とす
糖質中心 レース

 

これらの取り組みを『カーボローディングまたはグルコースローディング』と言います。ここで、パターン1に新たに「オールアウト走」というポイント練習が出てきましたので、少し詳しく説明しながら、『カーボローディング』のメカニズムについて解説します。ヒトが身体を動かすにはエネルギーが必要です。このエネルギーは、ATP(アデノシン三燐酸)がADP(アデノシン二燐酸)とP(燐酸)に分解する際にもたらされるのですが、極めて少量しかありません。そこで、CP(クレアチン燐酸)、糖質、脂質をエネルギーとしてADPをATPに再合成しています。それぞれの供給過程には概ね下記のような特徴があります。

 

供給速度 酸素
CP ほんの僅か 速い 不要
糖質 中くらい 中くらい 不要
脂質 ほぼ無限 遅い 必要

 

これらは、ひとつのエネルギー源に依存するのではなく、運動の強さや時間にあわせて3つを、バランスを変化させてそれぞれを補うことにより協力してATPの再合成を続けています。その結果、短時間に大きなエネルギーを必要とする全力ジャンプやダッシュから、長時間エネルギーを供給し続ける必要のあるフルマラソン、100kmマラソン、24時間歩行などに至るまで幅広く対応しています。CPのエネルギーの供給速度は極めて速いのですが、量はほんの僅かしかありません。先のATPとあわせても9秒程度しかエネルギーを供給できません。このことから今回の説明からは一応除外し、残りの糖質と脂質について説明します。歩く程度の強さであれば、糖質の供給を最小限に抑えて、そのほとんどを脂質をエネルギーとしてATPの再合成を行います。これが走るとなれば、糖質を使う割合が増えます。さらに走る強度が高くなればなるほど、糖質をエネルギーとして使用する割合が増えます。このことから、一定の強度を超えた速さで走り続けると「中くらい」の量しかない糖質に依存し過ぎるため、糖が枯渇してしまいます。脂質は事実上ほぼ無限に近い量はありますが、供給速度が遅いことから、一時的にAPTの再合成が間に合わなくなり、走り続けることができなくなります。歩くことはできるが走れない、という状態です。この状態をオールアウトと言います。この状態をあえて作り出すのが「オールアウト走」です。実際のレースでは、このオールアウトの状態が「30kmの壁!!」に相当します。 では、この30kmの壁を無くすためには、どうすればよいか・・・ですが、
最もシンプルに考えるならば、1.糖質の蓄える量を多くする 2.脂質の供給速度を上げる、のどちらかになります。
先に2.脂質の供給速度を上げる、ですが、サプリメント等により可能になるという報告も多数ありますが、体温を上昇させて脂質の代謝を促すようなものについては、結果として発汗等によるエネルギーロスが大きくなり、体力を消耗することから逆効果になります。そこでレース前、最後の1週間で行うことは、1.糖質の蓄える量を多くする、ことです。この取り組みのことを『カーボローディング』と言います。
カーボローディングは、一旦増えたり、減ったりしたエネルギーは上下しながら元の水準に戻っていく性質を利用したものです。糖質を制限した食事と練習により、一旦糖を最大限使い切った状態を作り、その後糖質を中心とした食事を摂ることにより、レース当日に体内に蓄える糖質を最大にもっていく方法です。ヒトの身体って、本当におもしろいですよねぇ!

では、この続きは次回に。

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